
繰り返す道
文月を No.28 で東京に連れて行って以降、ほとんど使わなくなった。
手間暇掛けてカスタマイズしてきたのに、使わなくなったのには当然ながら訳がある。
◆ ハードウエアの問題
まず、お約束の発熱。局所的に熱を持つのは、ノートパソコンという狭い筐体が熱を帯びる以上、仕方のないことだが、CPU よりも PC カードスロットの直下にあるビデオチップが熱を持つため、差してある PC カードが加熱されてしまい、壊れてしまわないかが大いに心配であった。
次に、キーボードの感触。全体が緩くSの字に波打っているだけでなく、「ぺちぺち」するクリック感はどうにもしっくり来なかった。
そして USB。これはカスタマイズの所為もあるかもしれないが、時間が経つと繋げている機器が使えなくなるのは勘弁して欲しかった。
タッチパネルも思っていたほど使い勝手を向上させるインターフェースではなかった。
筐体について、文字入力と携帯性を考えると B5 サイズであろうと考えていて、広告のアオリ文句でもある「軽量 1.3kg」にも心を動かされて買ったわけだが、実際に扱ってみると、B5 サイズというのは携帯するにはちと大きいし、1.3kg も重い。この期待との相違は、時間を掛けても埋められなかった。
◆ ソフトウエアの問題
あれもこれもと欲をかいたわりには、実際使わないものが多すぎた。本当に使うソフトなら文月無くともメイン機で使えばいいわけだが、そうしていたわけでもなかったということは、当初のプランが如何に夢をベースにしていたかを物語っており、大いに反省すべき点であろう。
○FAX
どれほど送る機会があるというのか。っていうか使ってない。
○ワープロ
Wordpadも不要。フリーのテキストエディタのみ十分。
○表計算
これは必要。電卓も便利だが、煩雑な計算にはもってこい。
○電卓、文字コード表
○地図
普段でも参照するのは紙地図であるし、必要ならインターネット地図で見ればよい。わざわざインストールしても滅多に、いや、全く使わない。
○GPS
よくよく考えれば、本気で道に迷ったことはないし、軽い道迷いならむしろ楽しい。たとえ現在地を見失っても、今でも GPS なしで位置確認している。私には GPS は不要だ。まだ買ってないが、買う予定自体を取り消す。
○時刻表
数ヶ月に1度、鉄道に乗るだけの日常。必要性はほとんど無い
○PIMソフト
これは必要。いくつかフリーソフトを試し、選び抜いたものはある。
○Webブラウザ
Netscape Navigator 3 で十分。
○メールソフト
○手書きメモ
○通信環境1
○通信環境2
H"をチョイスしたのは先般まとめた通りだが、契約1年経ってみて使ったのはたったの数時間。スペック的には64kbpsでも、体感的にはお世辞にも高速とは言えず、電波も弱いようである。時代が進み、携帯電話でも高速通信が可能になり、携帯でもデータ料金プランもお目見えしたので、今後は携帯電話での移動通信に切り替えよう。よってH"は解約した。
○その他
Word Viewer、PowerPoint Viewerも使わないな。だが辞書は要る。
文月を通して、私にとってのモバイルマシンのイメージがまた修正された。
いつも側に置いて、いつも使うし、使いたいときにも使えること。有ったら便利だろうと、あれもこれもと欲張った機能を持たせるのではなく、スケジュール管理&辞書& Web マシンに特化するのが一番のようだ。「いつも使う」というのは重要なポイントだと考える。例えばメイン機は、自分が自宅にいる時間とほぼ同じくらい電源が入っている時間があるが、モバイルパソコンでもそれくらい「いつも使える状態」でないと、億劫になって使わなくなってしまいそうだ。また、いつも使わなければならない理由を作ることで、モバイルの灯を点しておくことも効果的だろう。そのためには「スケジュール管理」&「辞書」ソフトは必須とも言える。
まぁ、当たり前と言えば当たり前の結論だが、懲りないと夢も現実には近づかないわけで、そういう意味では文月は自分なりの「モバイル」の「終着点」ではなく、また「乗換駅」にしてなってしまった。
ところで、内蔵ディスクのフラッシュ化を忘れては居ない。文月プロジェクトから2年、フラッシュディスクは相変わらず高いままだが、コンパクトフラッシュの大容量化と低価格化はめざましく、コンパクトフラッシュを2.5"ディスクのように使えるアダプタの普及(?)もあった。
モバイルマシンの目的が絞れ、インストールするソフトが減れば、自ずと必要なディスク容量は減るわけで、今なら(資金的に)そんなに無理をしなくともフラッシュ化ができそうである。
夢は潰されても、希望はまた夢を創る。文月の「遺志」を継ぐ物は既に現れている。