リカバリのために


 文月を買ったときにもそうしたが、メーカー製パソコンを使うときには、本気で使う前にまずリカバリの練習をするのがベターだと考えている。自作の場合は、作っていく過程が殆どリカバリ作業に等しいので、わざわざリカバリの練習をする必要もないのだが、メーカー製のパソコンのリカバリでは100%出荷時状態に戻せる機種は希であり、何が標準でインストールされて何が導入されないのか、手順通りのリカバリにどれくらい時間を要するか、自己流でリカバリ作業を行うことも可能なのか、その辺を見極める意味で、使い始めでのリカバリ練習は重要であろう。
 師走の場合、出荷時状態に戻すというのは、言うまでもなく今回のプロジェクトそのものを無に帰してしまうことになる。実施中のプロジェクトでは、動作保証外の OS を入れ、アプリケーションを追加しているだけでなく、導入してあるファイルの一部を削除したり改造したりしている。つまり、師走にとっての初期状態とは、まさに今現在、あらかた改造が終わった「自分の思い描く本運用の形を開始する時点でのディスク内容」である。
 師走からCドライブのファイルやフォルダを全てメイン機にコピーし、隠しファイル属性を外す。また、小文字のファイル名を全て大文字のファイル名に変名する(abc.Exe → ABC.EXE)。その上で CD-R に書き込む。
 どうしても短いファイル名にできなかったものがある。windowsフォルダのモデムログファイルや、inf\othersフォルダの設定ファイルであるが、それらはCD-Rには焼かず、リカバリ起動フロッピーへコピーしておいて、windows 復帰後に書き戻す。lzh自己解凍にでもしておく方がよいかもしれない。


 リカバリ時には、起動メディアの問題がある。FDで起動してCDを使えるようにしてファイルコピーするのか、CDブートして同じ事を行うのか。前述の長いファイル名のファイルをフロッピーから書き戻すことを考えると、師走の場合は前者だな。
 フロッピー起動といっても標準ではフロッピーインターフェースが無いので、USBフロッピーを入手。LogitechのUSB-FDD、これは Y-E Data の FlushBuster とかいう中身で、文月に付属してきたのもコレだった。広く一般的に起動に使えるUSB-FDDのようだ。
 フロッピーで起動した後、CDドライブを使えるようにしなければならない。メーカー純正のCD-ROMドライブは入手しているし、DOSドライバも持っている(今のHDDに換装する前に、元々のHDD内にCD-ROMドライブのDOSドライバがあるのに気付いたので取り出し済み)ので、後はreadme.txtを見てconfig.sysを書けばよいだろうと思っていた。

 しかし、甘くはなかった。
 結論から言うと、CD-ROMドライブのドライバとしてInterlinkに付属してくるDOS用ドライバ(ややこしい)は全く不要。

 CDDドライバとして付属してきたDOSドライバは

であった。
 CS(Card Service)/SS(Socket Service)ドライバはInterlinkには付属してこないので、PCMCIA直のドライバを使うのだろうと考え、readme.txtの内容を参考にconfig.sysを作成し起動かけてみたところ、ドライバがPCMCIAアダプタを見つけられない。
 readme.txt をよく読むと、PCMCIA直用ドライバはIntelのCard Controller 専用らしい。Interlink の PC-Card Controller は、Ricoh の RL5C476 という代物で、Intel 純正ではない。しかし、I/OアドレスやIRQが間違っていてもコントローラが認識されないこともあると書いてあり、もともと付属してきたドライバなのだからきっと工夫次第で使えるようになるのだろうと勝手に思いこみ、あれこれ設定を変えてみた。が、一向に認識される気配は見えなかった。
 次に考えたのは、Norton AntiVirus のレスキューディスクから、PC-CARD ドライバを抜く方法。レスキューディスク作成のための原フォルダの中には汎用・専用デバイスドライバが何故か大量に収められており、これを使うと大半のパソコンでFDブートができるようになっている。ノートパソコンも例外ではない。
 フォルダの中を漁っては見たが、どれを使って良いかは見当が付きにくく、config.sysに書くためには一度Norton先生がFDを作る必要がありそうだ。そのために師走にNortonを入れるのも何かしっくり来ないので、最後の最後の最終手段としてこの方法をとっておくことにした。
 PCMCIA直がダメなら、CS/SSドライバを入手して試してみるか。readme.txtに代表的なカードドライバのファイル名があるのでwebを検索してみた。そしたら何と、ウチの「WHAT.txt」が引っ掛かっているではないか。文月のページに記述があったのである。
 とはいえ文月は既に売り払っており、ドライバを試してみようにも物が無いので、他所を探してみると、海外の富士通のサイトでダウンロードできる場所がある記述を発見した。早速ダウンロードし試してみるが、ドライバ読み込み中にハングってしまう。うまくいかんな。

 さて、InterlinkでWin2000を入れている人が結構おり、OSインストールの方法を書いているサイトがある。CDブートさせてインストールするのだ、という。PCMCIAスロットに差したカードから起動できるものなのか? しかし事実そうしてOSインストールを成功させているようなので、BIOSを見直してみた。


 師走の起動時にAlt+F2でBIOS設定画面を表示する。Advancedページの「PCMCIA locked for CDROM」がCDブートに関係しているだろうと思っていたので、DisabledになっているのをEnabledに変更し、設定を保存して再起動してみた。
 師走の起動途中で、"CDから起動するんならEnter押せ"という例のメッセージが表示され、とりあえず眺めていたらそのままWin98が起動してきた。しかし、新しいデバイスが見つかったとかで、標準EIDE/IDEドライバが導入された。今更何で?
 これでCDから起動できそうなことは分かった。とすれば、ブータブルCDを作ればリカバリもオッケー・・・って、ちょっと待て。CDから起動できたところで、結局CDドライバを入れなければOSからは見えないのではないか。マシン起動時にBIOSからPCMCIA経由のCDDが見えるのはBIOSのドライバによるからで、そこから別のOSを起動したら、OS用のドライバが要るだろう。結局、CS/SSドライバが要ることになるのではないだろうか。
 愕然とした。振り出しに戻ったらしい。CDブートできても意味がなかった。

 ん?
 PCMCIAインターフェースの先のCDDからの起動。BIOSからはCDDが見えていて、ブートイメージのあるCDを読み、起動FD相当の内容が実施される。
 これって、機器の接続方式を無視して見ると、デスクトップ機のCDブートと同じ流れか? PCMCIA経由であっても、それが見えなくなっている・・・って、BIOSの説明にあるじゃんよ(the PCMCIA controller will be disappeared: PCMCIAコントローラが見えへんようになるはずや)。
 そうか。PCMCIAに差したカードに接続しているCDDでありながら、あたかもメインボードのIDEコネクタに直接接続されているCDDのようにエミュレーションしているわけだ!
 ということは。
 Win98起動ディスクに入っている汎用のCDDデバイスドライバが使えたりして。

 フロッピーケースから過去に作ったWin98起動ディスクを出してきて、FDドライブに入れ起動してみる。果たして、PCMCIAカードの先にあるCDドライブを認識し、dirコマンドも通ることを確認した。
 PCMCIAカードを無線LANカードに入れ替え、Win98を起動、メイン機と通信してみる。成功。BIOSの其のオプションを有効にしたからと言って、他のPCカードで不具合が起きることもないようだ。

 シンプルなオチに落ち着いたのは何よりだが、マニュアルに書いておいて下さいよ、メーカー様。正直、無駄な遠回りはできれば避けたい(泣)




 リカバリの試験をしてみた。
 成功。このまま、内蔵ディスクのフラッシュ化に進もうかな。







indexへ戻ります